川添法律事務所
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剣道関連の記事
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月刊誌「剣道時代」より依頼受け、私が寄稿した記事が同誌2006年(平18)6月号に掲載されました。
反対尋問は剣道の立会い 風のように攻め、火のように打つ」

 わたしの仕事の大半は、民事訴訟の弁護活動が占めています。民事訴訟とは、個人や会社間で生じた経済的紛争を裁判所で解決する訴訟手続きです。わたしは法廷に入るときには、剣道修行者としての気構え、身構えで入るようにしています。永年このようにしてきましたので、今ではあまり意識しなくてもできているような気がしています。裁判に剣道修行者としての気構え、身構えを持って臨むことによって、自然と落ち着いた心が得られているように思います。他の弁護士よりも自然体を維持できたり、腹から声を出せたり、いざというときには眼光鋭く相手を見れたりできると思っています。

 民事訴訟は経済的な意味での戦(いくさ)です。わたしは訴訟に対する対処方針の基本を武田信玄が旗印として掲げた「風林火山」の実践に置いています。民事訴訟において、闘争のもっとも尖鋭化する場面は、相手方の弁護士が申請した証人(敵性証人)に対して、当方が行う反対尋問です。この証人はわたしの依頼者にとって、不利益な事柄を述べる意図を持って法廷に臨んでいます。

 反対尋問のはじめは、静かに穏やかに証人と対話を進めていきます。これは遠間からの剣先の攻め合いに似ています。「林」「山」のイメージで大局観を持って臨む局面です。証人の証言は、必ずどこかで主尋問の際に話した内容との矛盾、ほころびといったものが生じます。ここでは、質問のスピードを上げていき、証人にできるだけ考える時間的余裕を与えないようにします。「風」のイメージによる攻撃です。

 このようにして証人の心理的な動揺を誘うのです。動揺した証人に対して波状攻撃のイメージで連続的な質問を行うことによって、動揺の幅を一層大きくし、証人が自ら崩れるように追い込むことができれば、主尋問で述べたことと明らかに矛盾する決定的証言を得るチャンスが拡がります。ここはまさに打ち間に入る直前から打ち間に入り打って出るところです。舌鋒鋭く「火」のごとき気迫を持ち、鋭い眼光で証人の両眼を見つめて間髪容れずに質問を発し、証言を求めます。できれば、ひとつくらいは重要証拠書類を事前に裁判所へ提出しないで手元に残しておき、証人の動揺した場面で不意に目の前に突きつけ、さらに動揺を誘い、主尋問での証言を維持できないように仕向けることが肝要と考えています。

 このように反対尋問には、剣道と多くの共通の要素が存在しています。その意味で今後、剣道の稽古を日々積み重ねることが訴訟における戦の武器というべき反対尋問の技量の新たな研鑽に直結すると確信しています。

 わたしは平成16年7月10日から、ほぼ毎日素振りを日課としました。わたしにとって、剣道修業上の2度目の誕生日です。毎日欠かさず行ったかどうかを記録につけています。このことによって、「記録することが物事の継続の励みになる」ことを新たに発見しました。これからも高知市で多くの先生方、剣友の方々と素振り人生を楽しんでいきたいと思っています。